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2025.02.20

タンス預金は相続税の申告が必要?バレる仕組みとリスクを徹底解説!

カテゴリー
相続・贈与
タンス預金は相続税の申告が必要?バレる仕組みとリスクを徹底解説!

概要

本記事では、タンス預金の相続税申告の必要性や、申告しなかった場合のリスク、税務署にバレる仕組み、さらには相続申告後にタンス預金が発覚した場合の対応方法について詳しく解説します。相続税の申告を適正に行い、将来的なトラブルを回避するために、ぜひ最後までご覧ください。

目次

    高齢の方の中には、「銀行に預けるより安心」「万が一に備えて現金を手元に置いておきたい」と考え、大きな額を自宅で管理されているケースも少なくありません。

    しかし、相続が発生した際、タンス預金も財産の一部として扱われるため、適切に申告しなければなりません。「現金は銀行口座にないからバレない」「少額なら問題ないのでは?」と思われる方もいますが、それは大きな誤解です。税務署はさまざまな方法で相続財産を調査しており、申告漏れが発覚すると追徴課税などのペナルティが科される可能性があります。

    そもそも相続税とは

    相続税とは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続や遺贈によって取得した際に課される税金です。相続税は、基礎控除額という一定額を超える財産に対して課税されるため、すべての相続で発生するわけではありません。基礎控除額は以下の計算式で求められます。

    基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

    例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人である場合、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3)=4,800万円 となります。相続財産の合計額がこの基礎控除額を超える場合、相続税の申告が必要になります。

    相続税の対象となる財産とは

    相続税の課税対象となる財産は、被相続人が亡くなった時点で所有していたすべての財産が含まれます。具体的には、以下のようなものが相続財産として扱われます。

    1. 金融資産

    預貯金(銀行口座の残高、定期預金など)

    現金(タンス預金)

    株式・投資信託

    貸付金・未収入金(貸していたお金)

    2. 不動産

    土地・建物(自宅や賃貸物件など)

    借地権・借家権

    3. その他の資産

    貴金属(金・プラチナなど)

    美術品・骨董品

    ゴルフ会員権・リゾート会員権

    また、相続開始前7年以内に被相続人から相続人へ贈与された財産も「相続財産」とみなされ、課税対象になります(生前贈与加算)。

    ※相続における生前贈与の加算の対象期間は直近の税制改正にて変更されており、条件が複雑になっております。実際に行う場合は専門家に相談した上で実施ください。

    現金(タンス預金)・預貯金も課税対象

    相続税の対象として意外と見落とされがちなのが、「現金(タンス預金)」です。銀行に預けていない現金であっても、相続税の課税対象となるため、正しく申告する必要があります。

    税務署は相続人の申告内容だけでなく、銀行の取引履歴や被相続人の生活費の流れなどを確認し、「申告されていない現金があるのではないか?」 と疑います。例えば、以下のような状況では、税務署にタンス預金の存在を疑われる可能性があります。

    ✔ 亡くなる直前に銀行口座から大きな金額が引き出されている

    ✔ 日常の生活費と比較して収入が多すぎる(使われていないお金が多い)

    ✔ 預貯金がほとんどないのに、高額な資産を所有していた形跡がある

    タンス預金を申告から除外していた場合、後に税務署に発覚すると追徴課税などのペナルティが科されるため、注意が必要です。タンス預金も相続財産として正しく申告し、適切な納税を行うことが大切となります。

    申告漏れが発覚した場合のペナルティ

    相続財産の申告漏れが発覚すると、追徴課税や延滞税などのペナルティが科される可能性があります。特に、タンス預金を意図的に申告せず、税務署の調査で発覚すると高額な税負担が生じるため、注意が必要です。ここでは、申告漏れによる具体的な罰則についてお伝えします。

    追徴課税と延滞税とは

    相続税の申告期限(相続開始から10か月以内)を過ぎてから申告した場合、 延滞税や加算税(無申告加算税・過少申告加算税)が発生します。

    ① 延滞税

    納税期限までに相続税を納めなかった場合、 納付が遅れた日数に応じて「延滞税」 が発生します。延滞税の税率は以下のように決められています。

    納付期限の翌日から2か月以内:年2.4%(令和6年現在)

    納付期限の翌日から2か月超:年8.7%(令和6年現在)

    ※税率は毎年変動する可能性があるため、最新の情報を確認してください。

    ② 無申告加算税

    相続税を期限内に申告しなかった場合、 無申告加算税が課されます。税率は以下の通りです。

    税務署の指摘前に自主的に申告した場合:5%

    税務署の指摘後に申告した場合:50万円までは15%、50万円超の部分は20%、300万円超えは30%

    ③ 過少申告加算税

    申告はしたものの、後から申告漏れが発覚し、税額が増えた場合には過少申告加算税が課されます。税率は以下の通りです。

    増額部分(当初支払った額に対して増えた分)に対して100万円までの部分(増差税額が当初申告した税額または50万円のうち多い方)は10%、増額部分が100万円を超える部分は15%

    悪質な場合の重加算税とは

    申告漏れの中でも故意に財産を隠したり、偽造書類を用意したりするなどの悪質な行為があった場合、重加算税が適用されます。

    無申告の場合:40%

    過少申告の場合:35%

    特にタンス預金を意図的に申告しなかった場合、税務署が「隠蔽や仮装があった」と判断すると重加算税の対象となるので、注意しましょう。

    なぜ税務署にタンス預金がバレるのか?

    「タンス預金はバレない」と思われがちですが、税務署は様々な方法で資産の流れを把握しており、申告漏れが発覚する可能性は非常に高いです。具体的には、以下のような方法で調査が行われます。

    ✔ 金融機関の取引履歴の確認

    被相続人の銀行口座の取引履歴を調べ、大きな現金の引き出しがある場合、タンス預金として隠している可能性を疑います。

    ✔ 生活費と収入のバランスを分析する

    税務署は亡くなる前の生活費や収入を調査し、不自然にお金が減っていないか確認します。「収入が多いのに預金が少ない=現金で持っていた可能性あり」と判断されることもあります。

    ✔ 相続人の財産状況の変化

    相続後に相続人の財産が急に増えた場合、「相続時に申告していなかった財産を使ったのでは?」と疑われます。特に不動産の購入や高額な出費があると、税務署が追及してくることがあります。

    ✔ 税務調査での現金保有の確認

    税務署が相続税の調査に入ると、自宅を訪問して 金庫やタンスの中身を確認するケース もあります。

    申告漏れが後から発覚すると、余計な税金や罰則がかかるリスクが高まるため、最初から正しく申告することが最善策です。

    相続申告後にタンス預金を発見した場合

    相続税の申告を終えた後になって、「実は亡くなった親がタンス預金をしていた」と判明するケースは少なくありません。この場合、税務署から指摘される前に適切な対応を取ることが重要です。早めに修正申告を行うことで、罰則を軽減できる可能性もあります。

    修正申告の方法

    相続税の申告後にタンス預金の存在が判明した場合、速やかに修正申告を行う必要があります。修正申告の手続きは以下の手順で進めます。

    1. 必要書類を揃える

    2. 修正申告を揃える

    3. 不足分を納税

    4. 税務署に修正申告を提出

    以下書類が必要になりますが、相続の内容によって、必要な書類が異なりますので、専門家に相談することをオススメします。

    ・相続税の修正申告書

    ・相続財産の種類別価額表

    ・本人確認書類

    ・その他ケースによって追加書類が必要

    必要書類を揃えた後には「修正申告書」を作成し、追加の税額を計算しましょう。修正申告を税務署に提出する前に、納税が必要になりますので、注意してください。

    早めの対応が最善策!

    タンス預金の存在が申告後に判明した場合、「バレないだろう」と放置せず、早めに修正申告を行うことが重要です。

    ✅ 税務署の指摘前に自主的に修正申告を行うことで、加算税の軽減が期待できる

    ✅ 速やかに納付することで、延滞税の負担を減らすことができる

    ✅ 「隠蔽・仮装」とみなされないように、正直に申告することで重加算税を回避

    相続税の申告は非常に複雑であり、タンス預金の申告漏れが発覚した場合の対応も慎重に行う必要があります。お困りの際は、是非相続税の専門家にご相談ください。

    専門家による監修

    本ガイドは、記事の内容に関する広範な知識と実務経験を持つ専門家によって監修されています。専門家による監修は、本ガイドの内容の正確性と信頼性を保証するものであり、読者が安心して情報を活用できるようにするためのものです。監修を担当された専門家の情報は以下の通りです。ご興味がある方は、さらなる情報や個別のご相談について、直接お問い合わせいただければと思います。

    監修:橋本 隆

    茨城県日立市出身。札幌観光大使。中小零細企業の資金調達および事業承継に強い税理士。2003年税理士試験合格。千葉県内の税理士事務所勤務を経て2007年4月BAMCグループに参画。千葉支店長、札幌支店長を歴任。2020年4月税理士法人BAMC代表社員に就任。金融機関、生命保険会社からの依頼で年間100本のセミナーを行う人気講師でもある。

    ※当記事は税理士などの専門家の監修の下、細心の注意を払って作成しておりますが、万が一内容に不備があり、読者に不利益や損害が生じた場合でも、㈱BAMC associatesは責任を負いかねますのでご了承ください。記事に関するご指摘は、大変恐縮ですが、当事務所の「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。ただし、記事に関するご質問は回答出来ませんので、あらかじめご理解のほどお願い申し上げます。

    著者
    BAMC 新井
    記事作成日
    2025.02.20

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