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2024.03.26

会社設立の流れとは?株式会社を設立するための費用や必要書類を解説

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開業支援
会社設立の流れとは?株式会社を設立するための費用や必要書類を解説

概要

会社を設立することは、ビジネスを行う上で、大きな一歩となります。この記事では会社を設立する際の流れや必要な手続き、書類、費用について、まとめております。また実際に会社の設立をサポートしている税理士が、注意を払うべきポイントについてもアドバイスをしており、会社設立のガイドラインとして、詳しく解説しております。

目次

    会社を設立するメリット

    会社設立には、個人事業主と比較して、多くのメリットがあります。以下に、その主なメリットを挙げます。

    1. 社会的な信用が得やすい

    法人として設立された会社は、取引先や金融機関からの信頼を得やすくなります。これは、ビジネスの機会を拡大し、より大きな契約を獲得する上で重要な要素です。法人名義の銀行口座やクレジットカードの利用により、ビジネスの信頼性が向上します。

    2. 節税面でメリットがある

    法人税の税率は、所得税率と比較して低い場合が多く、適切な税務計画により節税が可能になります。また経費として認められる項目が増え、法人として様々な経費を事業費として計上できるため、課税所得を減らすことができます。一般的には年間の利益が500万円を超える場合、会社設立を検討するタイミングと言えます。

    3. 決算月を自由に設定できる

    個人事業主の場合、決算月は原則として12月ですが、法人では自由に決算月を設定することが可能です。これにより、資金繰りや業務量などを考慮して、事業に適した時期に決算を迎えることができます。

    4. 有限責任になる

    個人事業の場合、事業での借入金は個人の借金とみなされ、事業失敗時には個人の全財産(事業用以外も含む)で債務を支払う必要があります。株式会社の株主は、出資額の範囲内でのみ責任を負います。したがって事業が失敗した場合でも、個人資産へのリスクを最小限に抑えることができます。※株主が連帯保証人となっていない場合に限ります。

    5. 社会保険に加入できる

    法人の従業員は、健康保険や厚生年金保険などの社会保険に加入することができます。これにより、従業員の福利厚生が向上し、優秀な人材の確保にもつながります。

    税理士からのワンポイントアドバイス

    会社設立には様々なメリットがありますが、特に重要なのが、社会的な信用の獲得です。取引先の拡充や従業員の雇用の際、社会的評価を得やすくなります。

    会社を設立するデメリット

    会社設立には多くのメリットがありますが、一方で考慮すべきデメリットも存在します。これらを理解し、対策を講じることで、将来のトラブルを避け、事業の成功につなげることができます。

    1. 会社設立には費用や手続きが必要

    会社を設立するには、定款の認証費用、登記費用などの初期費用が必要です。また、設立手続きには複雑な書類の作成や法務局への申請が伴います。株式会社は「資本金×0.7%」で最低15万円、合同会社は同率で最低6万円です。資本金は1円から可能ですが、運転資金3カ月分を含む初期費用の準備が推奨されています。

    2. 事務作業の負担が増える

    法人としての運営には、定期的な税務申告、経理処理、社会保険手続きなど、継続的な事務作業が必要となります

    3. 赤字でも法人住民税や法人事業税の納税が必要

    個人事業主が決算で赤字になった場合、所得税と住民税は0円となります。しかし法人は、利益が出ていない年でも、法人住民税(※1)の納税が必要となります。法人住民税は、資本金額と従業員数に応じて、納税額が変動します。仮に資本金等が1千万円以下で従業員数が50人以下の場合は、7万円の納税額となります。

    ※1:法人事業税は、資本金が1億円を超える法人の場合、納税義務が発生する。

    デメリットに対する対策

    会社設立のデメリットを最小限に抑えるための対策をいくつか紹介します。

    費用の計画:

    会社設立にかかる費用については、事前に詳細な計画を立て、必要な資金を確保しておきましょう。また、公証人認証が不要な電子定款の利用や、補助金・助成金の活用も検討することが大切です。

    事務作業の効率化:

    会計ソフトやクラウドサービスを活用し、事務作業の自動化や効率化を図りましょう。また、必要に応じて専門家(税理士や社労士)のサポートを受けることも一考です。

    税務知識の習得:

    赤字の場合でも発生する税金については、適切な税務計画を立てることが重要です。税務セミナーへの参加や専門書籍の閲覧などを通じ、知識を身につけましょう。

    税理士からのワンポイントアドバイス

    会社を設立するためには、資本金額が1円からでも可能です。しかし、実際に事業を行う場合には、電話やパソコン、事業所や営業用車両などの購入に資金が必要になります。安易に0円で設立するのではなく、入念に事業計画を立案して、計画に沿った資金を準備することが大切です。

    個人事業主が会社を設立(法人化)する判断基準

    法人化による節税効果を享受できるかどうかは、事業の収益性、経費の性質、事業規模など多くの要因に依存しますが、一般的な目安としては年間の利益が500万円を超えた場合に節税効果が表れやすいと言われています。

    日本の場合、個人事業主として所得税を納める場合の最高税率は45%ですが、これに対して法人税の基本的な税率は約23%(資本金が1億円以下の中小企業の場合、利益が800万円までは15%)となっています。そのため、個人事業主の場合、所得が多くなるほど税率が上昇し、高額な税金を支払うことになりますが、法人化すると税率が低く抑えられるため、特に年間利益が1,000万円を超えるような事業では節税効果が顕著になることが一般的です。

    ただし、法人化することで法人住民税や法人事業税など、個人事業主の場合にはかからない税金が発生することもあります。また、会計基準や報告義務が厳しくなり、経理や税務処理のコストが増加する可能性もあるため、単純に税率だけでなく、運営コスト全体を考慮して判断することが重要です。

    節税効果を最大限に享受するためには、税理士などの専門家に相談し、自身の事業に最適な形態を選択することをお勧めします。専門家は、現在の事業の状況や将来の展望を踏まえて、個々のケースに応じたアドバイスを提供してくれます。

    会社設立の手順と必要な手続き

    会社を設立する過程は、複数のステップを含み、それぞれに必要な手続きがあります。

    STEP1. 会社の概要を決める

    会社設立の最初のステップでは、以下の要素を決定します。

    • 社名(商号):他の企業と区別がつく、かつ事業内容を反映した名称
    • 所在地:法人登記上の住所。これは後の公的手続きに影響
    • 資本金:事業を運営するために必要な資金
    • 設立日:法人として活動を開始する日付
    • 会計年度:事業年度の開始日と終了日
    • 事業目的:会社が行う事業内容
    • 株主の構成:出資者の情報と出資比率
    • 役員の構成:代表取締役や取締役会のメンバー

    STEP2. 法人用の実印を作成する

    法人としての取引に必要となる実印を作成し、印鑑登録を行います。

    STEP3. 定款を作成し、認証を受ける

    定款の絶対的記載事項:事業目的、社名、本店の所在地など、法律で定められた事項を記載し、公証役場で認証を受けます。

    STEP4. 出資金(資本金)を払い込む

    設立時の資本金を、指定された銀行口座に払い込みます。資本金と聞くと金銭のみを想像しがちですが、金銭以外に「物」を用いた現物出資も可能です。

    STEP5. 登記申請書類を作成し、法務局で申請する

    会社設立登記のために必要な書類を準備し、最寄りの法務局に提出して登記を完了させます。

    【登記に必要な書類】

    • 登記申請書
    • 登記事項などを記載した別紙
    • 印鑑届書
    • 定款
    • 発起人の決定書
    • 就任承諾書
    • 選定書
    • 設立時代表取締役の就任承諾書
    • 印鑑証明書
    • 本人確認証明書
    • 出資の払込みを証する書面
    • 資本金の額の計上に関する証明書

    これらの手順を遵守することで、スムーズに会社設立のプロセスを進めることができます。各ステップには、細かな要件や注意点があるため、専門家のアドバイスを受けることも重要です。

    会社設立に必要な費用

    会社設立には、いくつかの初期費用がかかります。これには定款の認証費用、登記費用、必要な印紙代、そして場合によっては専門家への相談料も含まれることがあります。具体的には、株式会社を設立する場合、公証人による定款の認証手数料が約5万円、登記に必要な登録免許税が約15万円(資本金によって変動する場合があります)、収入印紙代が4万円で、合計22~25万円程度となります。また事業計画に応じて準備する資本金も考慮に入れる必要があります。

    株式会社の設立登記後の手続きとは?

    会社設立後には、さらに複数の手続きを完了させる必要があり、必要な書類の提出先は以下の通りです。

    税務署: 

    法人設立届出書(2カ月以内)、青色申告承認申請書(3カ月以内)、給与支払事務所等の開設届出書(1カ月以内)。

    地方自治体: 

    法人設立届出書、定款の写し、登記事項証明書(提出期限は地域による)。

    年金事務所: 

    健康保険・厚生年金保険関連届出(5日以内)。

    労働基準監督署: 

    労働保険関連届出(10日以内)、就業規則(変更)届。

    ハローワーク: 

    雇用保険適用事業所設置届、被保険者資格取得届(10日以内)。

    これらの書類の提出を通じて、法的義務を遵守し、正式な事業運営をスタートさせます。

    会社設立で利用できる助成金・補助金

    会社設立時には、国や地方自治体から提供される様々な助成金や補助金を利用することができます。これらは、新たな事業の立ち上げや運営の支援を目的としています。

    地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)

    中小機構、都道府県、地域金融機関が共同で資金を提供し、造成した基金の運用益を用いて中小企業の創業や販路開拓などを支援する事業です。このファンドには、「地域中小企業応援ファンド」と「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」の2種類があり、全国約23の都道府県で組成されています。地域中小企業応援ファンドでは、地域の農林水産物や伝統技術を用いた商品開発・販路開拓に取り組む企業をサポートし、農商工連携型ファンドでは中小企業と農林漁業者の連携を促進します。両ファンドとも、主に商品開発や市場開拓の費用を対象とし、助成金の返済が不要で、複数年にわたる支援が可能です。

    小規模事業者持続化補助金

    持続的な経営を目指す小規模事業者(個人事業主を含む)に、販路拡大や生産性向上の取り組みに対して経費の一部を補助する制度です。申請には地域の商工会議所や商工会での支援が必要ですが、会員でなくても申請が可能です。幅広い経費が対象で、特に創業したてのスモールビジネス事業者にも申請しやすく設計されています。「創業枠」や「インボイス特例」による追加支援もあり、小規模事業者にとっては有益な補助金制度です。

    会社の設立方法

    会社を設立する方法は、手間、コスト、そして必要な専門知識に応じて様々です。ここでは、一般的な会社設立の方法を紹介します。

    自分自身で対応:

    外部サービスへの支払いを抑えられますが、全プロセスを自己管理するため、時間と労力が要求されます。手続きに誤りがあった場合、修正には追加の時間と費用がかかるため、基本的な法律や会計の知識がある方や、コスト削減を最優先する方にオススメです。

    オンラインサービスの利用:

    どこからでも手続きが可能で、多くの場合、費用がリーズナブルです。ただし、限定的なサポートが多く、場合によっては追加で専門家のアドバイスが必要になることがあります。基本的な手続きを自身で行いつつ、申請プロセスのみのサポートを受けたい方にオススメです。

    行政書士や司法書士への依頼:

    専門知識に基づくスムーズなサポートが受けられ、手続きの誤りを減らせます。自分で対応する場合と比較すると専門家への報酬が必要ですので、コストが掛かります。迅速かつ正確な手続きを希望する方や、自分で行うのが難しいと感じる方にオススメです。

    税理士事務所への依頼:

    会社設立の手続きに加え、税務に関する専門的なアドバイスが得られます。初期の財務・税務計画の策定が可能です。コストが他の方法と比較すると高くなる可能性があります。設立後も安定的な資金繰りを求める方や、税務や財務の知識がない方にはオススメです。

    会社設立の方法を選ぶ際は、費用対効果、手続きの複雑さ、そして自分自身の時間や知識の制約を慎重に考慮することが大切です。また、設立後の事業運営への影響も視野に入れ、長期的な計画のもとで最適な選択を行うといいでしょう。

    会社設立のチェックリスト

    会社設立を検討している方にとって、事前に準備をしておくべき事項をリストアップしたチェックリストは極めて重要です。以下に、会社設立に際してチェックすべき主要な項目を示します。

    • 事業計画の策定:事業の目的や計画、予算などを明確にします。
    • 資本金の準備:設立に必要な最低資本金を用意します。
    • 商号(会社名)の決定:他社と区別でき、事業内容が推察できる名称を選びます。
    • 事業所の所在地の決定:登記に使用する事業所の住所を決めます。
    • 定款の作成:会社の基本的なルールを記載した文書を準備します。
    • 役員の選任:代表取締役や取締役会のメンバーを決定します。
    • 登記手続き:法務局に会社設立の登記を行います。

    設立する業種業態やケースによって、事前に準備する内容は異なってきます。上記を参考にチェックリストを自分自身で作成して事前準備の際に活用ください。

    よくある質問

    Q. 個人事業主から法人への移行で最も注意すべき点は?

    個人事業主から法人へ移行する際、最も注意すべき点は税務上の処理です。特に、資産の法人への移行方法や、移行に伴う税負担の変化を正確に理解することが重要です。

    Q. 小規模なビジネスでも会社設立のメリットはありますか?

    小規模なビジネスであっても、法人化による信用度の向上や、税務面での利点など、多くのメリットがあります。特に、事業を拡大する意向がある場合や、外部からの資金調達を考えている場合には、法人化が有効です。

    Q. 会社設立後、すぐにビジネスを開始できますか?

    会社設立登記が完了し、必要な許認可を得た後にビジネスを開始することができます。ただし、業種によっては追加の許認可が必要な場合がありますので、事業開始前には関連する規制や要件を確認しておくことが重要です。

    専門家による監修

    本ガイドは、会社設立に関する広範な知識と実務経験を持つ専門家によって監修されています。専門家による監修は、本ガイドの内容の正確性と信頼性を保証するものであり、読者が安心して情報を活用できるようにするためのものです。監修を担当された専門家の情報は以下の通りです。ご興味がある方は、さらなる情報や個別のご相談について、直接お問い合わせいただければと思います。

    監修:辻 賢之輔

    1990年に北海道拓殖銀行、2002年に財務コンサルティング企業を経て、2007年に㈱BAMC associatesを設立。豊富な実務経験と幅広いネットワークを活かし、中小企業経営、資産管理に特化した総合コンサルティングを展開。行政、金融機関、コンサル企業等主催のセミナーは年間50回を超える。

    ※当記事は税理士などの専門家の監修の下、細心の注意を払って作成しておりますが、万が一内容に不備があり、読者に不利益や損害が生じた場合でも、㈱BAMC associatesは責任を負いかねますのでご了承ください。記事に関するご指摘は、大変恐縮ですが、当事務所の「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。ただし、記事に関するご質問は回答出来ませんので、あらかじめご理解のほどお願い申し上げます。

    著者
    BAMC 新井
    記事作成日
    2024.03.26

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