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2024.08.16

【連載_Vol.2】消費税は誰が払っているのか?

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会計・税金
【連載_Vol.2】消費税は誰が払っているのか?

目次

    消費税の支払いを苦々しく思う経営者は少なくありません。例えば赤字決算の場合、法人税の負担は生じませんが、消費税はお構いなく課税されます。実際、消費税の滞納額は他の税金を大きく上回り全滞納の約60%を占めています。とくに経営難に直面する経営者にとって、消費税の支払いは大きな障壁となっているのです。

    消費税の仕組み

     なぜなのか?あらためて消費税の仕組みを確認してみましょう。消費税は、消費者が商品・サービスを提供する事業者へ、その対価の一部として上乗せして支払います。そして事業者は消費者より受け取った消費税分から事業遂行上自らが支払った消費税分を控除して、納税義務者として消費税を納付します。納付期限は通常年2回(計算期間6ヶ月ごと)です。つまり事業者は税務署にとって代理店のような役割であり、消費者からの消費税を間接的に預かり、消費者に代わって年2回まとめて納めているわけです。事業者は納税義務者でありながら、実際に消費税を負担しているのは消費者だったのです。消費者が消費税を負担しているのだから、事業者の業績なんて関係ありません・・・おっと!「それぐらい知っとるわ(怒)」とお叱りを受けそうですね。  

    消費税の問題点

     問題は消費税の存在ではなく、その徴税方法にあると思います。先にも述べたとおり、事業者は消費者から預かった消費税を年2回納付することになります。つまり支払うタイミングに合わせてお金を貯める必要があります。日々の資金繰りに追われている事業活動において、売り上げと一緒に入金される預かり金(消費税)を区別して扱うことは、中小企業の経営者にとって酷な話です。半年に一度の消費税の納付期限より、目先に訪れる取引先への支払いや従業員への給与支給を優先してしまう心境を責める気持ちにはなれません。また下請けや孫請けといった商慣習が根強く残る実際の現場では、消費税の存在を顧みない価格交渉がいまだに目立っています。「消費税分を負けろ!」なんて言葉も当たり前に聞こえてきます。「消費税は預かり金」という定義では片付けられない、消費税を取り巻く厳しい現実が当に存在しているのです。  

    公平性が高い消費税

     昨年よりインボイス制度が導入され、消費税の存在感は一段と大きくなっています。そもそも景気に左右されやすく現役世代に負担が重くのしかかる所得税や法人税と比較して、消費税は景気の影響が少なく、極めて公平性の高い性格を持っています。今後、現行10%(軽減税率8%対象を除く)の税率がさらに増えることもあり得るでしょう。そうなれば「消費税分は負けときますよ」なんて安易には言えません。消費税の仕組みを理解し、その納付に備える経営姿勢を心掛けて欲しいと思います。

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    監修:辻 賢之輔

    1990年に北海道拓殖銀行、2002年に財務コンサルティング企業を経て、2007年に㈱BAMC associatesを設立。豊富な実務経験と幅広いネットワークを活かし、中小企業経営、資産管理に特化した総合コンサルティングを展開。行政、金融機関、コンサル企業等主催のセミナーは年間50回を超える。

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    著者
    代表取締役兼グループCEO 辻 賢之輔
    記事作成日
    2024.08.16

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