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2024.05.28

税務調査の種類を詳細解説:調査の方法によって、対応が変わるのか?

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会計・税金
税務調査の種類を詳細解説:調査の方法によって、対応が変わるのか?

概要

税務調査と聞くと、多くの方が不安を感じるかもしれません。税務調査の目的や種類を正しく理解しておき、税務調査がいつ来ても安心して対応できるようにしましょう。税務調査には様々なパターンがありますが、そのほとんどは単純な照会や確認です。この記事では、税務調査の種類とその目的をわかりやすく解説します。

目次

    税務調査の種類

    税務調査は、その強制力の有無に基づき「任意調査」と「強制調査」の主に2つに大別されます。個別の納税状況により、事前予告の有無、調査期間、調査場所など、調査方法が異なります。これらの調査は、納税の公平性を保ち、税法の適正さを担保するために実施されます。事前に理解しておくことで、調査時の不安を和らげ、慌てずに対応しましょう。

    任意調査とは

    任意調査は、税務署からの事前予告に基づいて行われることが多く、納税者の同意のもとで実施されます。任意調査は所得税法、法人税法、相続税法、消費税法などに基づいて、国税調査官が帳簿書類等を検査します。この種類の調査では、質問検査権(※)の行使により間接的な強制力が働き、納税者は調査への協力が求められます。任意調査には、以下のような種類があります。

    ※質問検査権

    国税調査官が税金に関する正確な情報を収集するために使う権限です。この権限を使って、個人や企業に対してヒアリングをしたり、必要な書類を確認することができます。同時に個人のプライバシー権などを尊重する必要があります。そのため、質問検査権の行使は、法律に基づき、厳格なルールのもとで行われます。

    任意調査の種類

    実地調査:

    納税者の事業所や自宅を訪問して帳簿や資料の確認、税理士や社長に帳簿や証憑について、ヒアリングする調査です。主に一般調査と特別調査に分けられます。

    一般調査:

    申告内容の正確さを帳簿中心に調べる税務調査です。申告書が税法に沿っているかを確認し、必要に応じて現場の実態もチェックします。この調査は、申告内容の適正を確認するために行われる一般的な調査方法です。

    特別調査:

    一般調査で問題点が見つかり、さらに詳しい調査が必要と判断された場合に実施されます。脱税や申告漏れが疑われる場合に行われ、より詳細で厳格な調査となります。

    ※他にも調査は方法がございますので、詳しく知りたい方は専門家へご相談ください。

    任意調査は拒否できるのか

    任意調査は基本的に納税者の同意のもとで行われるため、理論上は拒否することが可能です。しかし、質問検査権の行使により間接的な強制力があるため、実際には拒否することが難しいです。また拒否や不協力的な態度は、隠していることがあると疑われ、後の調査に悪影響を及ぼす可能性があります。

    強制調査とは

    強制調査は、国税通則法(※)に基づき、国税局査察部(マルサ)によって実施される調査です。この種類の調査では、裁判官の令状による臨検や差し押さえが可能で、主に重大な税法違反が疑われる場合に行われます。強制調査は、一般に脱税額が大きく、悪質と判断された際に行われます。

    ※国税通則法:税金に関する基本的なルールを定めた法律です。

    強制調査の対象となるケース

    強制調査の対象となるのは、重大な税法違反の疑いがある事業者や個人です。これには申告漏れや虚偽申告など、故意に税金の支払いを避けた疑いがあるケースが含まれます。以下のようなケースは強制調査の対象になる可能性があります。

    大幅な申告漏れが疑われる場合:

    過去の申告から大幅に所得が減少しているが、生活水準に変化がないなど、申告漏れが疑われる状況です。

    海外資産の申告漏れ:

    海外に資産を持っているにも関わらず、それが申告されていない場合です。

    第三者からの情報提供:

    匿名や名指しで税務署に対して情報提供があり、その情報が信憑性があると判断された場合です。

    税務署が特定業種を重点的に調査している場合:

    不正が発生しやすいとされる業種や、過去に同業他社で不正が発覚した場合など、業種によるリスク評価に基づくケースです。

    生活水準と申告所得の不一致:

    生活水準が申告された所得に見合わない場合、例えば高価な自動車を所有していたり、高級住宅に住んでいるなどが挙げられます。

    高額の現金取引:

    通常の業務運営とは異なり、一般的な説明がつかない高額な現金取引が発覚した場合です。

    異常な損益の申告:

    通常の事業運営において考えられないほどの大きな損失や異常に高い利益が申告されている場合です。

    複数年にわたる申告の未提出:

    通常の事業運営においてられないほどの大きな損失や異常に高い利益が申告されている場合です。

    ★税理士からのワンポイントアドバイス

    無申告、又は事実と異なった申告をしている場合、税務調査で指摘を受けると加算税(重加算税)や延滞税といった利息のような納税が発生します。したがって、自主的に正しい申告や修正申告をすることをお勧めします。

    税務調査と聞いて、不安に感じるかと思いますが、適切に準備をして、理解を深めることで、その不安は大きく軽減できます。もし調査を受けることになった場合でも、落ち着いて適切に対応できるようにしましょう。

    専門家による監修

    本ガイドは、記事の内容に関する広範な知識と実務経験を持つ専門家によって監修されています。専門家による監修は、本ガイドの内容の正確性と信頼性を保証するものであり、読者が安心して情報を活用できるようにするためのものです。監修を担当された専門家の情報は以下の通りです。ご興味がある方は、さらなる情報や個別のご相談について、直接お問い合わせいただければと思います。

    監修:橋本 隆

    茨城県日立市出身。札幌観光大使。中小零細企業の資金調達および事業承継に強い税理士。2003年税理士試験合格。千葉県内の税理士事務所勤務を経て2007年4月BAMCグループに参画。千葉支店長、札幌支店長を歴任。2020年4月税理士法人BAMC代表社員に就任。金融機関、生命保険会社からの依頼で年間100本のセミナーを行う人気講師でもある。

    ※当記事は税理士などの専門家の監修の下、細心の注意を払って作成しておりますが、万が一内容に不備があり、読者に不利益や損害が生じた場合でも、㈱BAMC associatesは責任を負いかねますのでご了承ください。記事に関するご指摘は、大変恐縮ですが、当事務所の「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。ただし、記事に関するご質問は回答出来ませんので、あらかじめご理解のほどお願い申し上げます。

    著者
    BAMC 新井
    記事作成日
    2024.05.28

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