資金調達とは?なぜ今、資金調達が必要なのか?
1. 資金調達とは
資金調達とは、企業が事業を行うために必要な資金を、外部から調達することです。具体的には、銀行からの借入、投資家からの出資、政府からの補助金など、さまざまな方法があります。資金調達の目的は、事業の成長を加速させ、企業価値を高めることです。
2. なぜ今、資金調達が必要なのか?
近年、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。デジタル化の加速、サプライチェーンの混乱、海外からの新規参入者の増加、人材不足など、企業は常に変化に対応しなければなりません。このような状況下で、企業が生き残るためには、新たな事業への投資、既存事業の強化、そして不測の事態に備えるための資金が必要不可欠です。
3. 資金調達の重要性と自己資金との比較
資金調達は、企業の成長にとって不可欠な要素です。資金調達によって、企業は新たな事業機会を捉え、競争力を強化し、持続的な成長を実現することができます。資金調達のメリットデメリットを自己資金や出資と比較してみましょう。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自己資金 | 返済不要、経営の自由度が高い | 調達額が限られる、事業拡大に時間がかかる |
借入金 | 短期でまとまった資金を調達できる | 返済の義務がある、金利負担が発生する |
出資 | 経営に参加できる投資家との連携が可能 | 経営への干渉を受ける可能性がある |
自己資金は、企業の信用力を高め、安定的な経営基盤を築くために重要です。しかし、自己資金だけでは事業拡大に限界がある場合、借入金や出資といった外部資金の調達が不可欠になります。
例えば、新製品の開発には多額の資金が必要となります。自己資金のみで開発を進める場合、事業拡大に時間がかかり、競合他社に遅れをとる可能性があります。一方、外部資金を調達することで、開発を加速させ、早期に市場に参入することができます。
資金調達の種類
企業は、事業の拡大や新製品開発など、様々な目的のために資金を調達します。資金調達には、大きく分けて以下の2つの方法があります。
借入型(デットファイナンス):
銀行などから資金を借入し、一定期間後に元金と利子を返済する方式です。
出資型(エクイティファイナンス):
投資家から資金を調達し、その代わりに会社の株式を発行する方式です。
<資金調達の種類>
資金調達方法 | 特徴 | メリット | デメリット | 企業との相性 |
---|---|---|---|---|
銀行融資 | 事業計画に基づき銀行から借入 | 手続きが比較的簡単、大規模な資金調達が可能 | 担保が必要な場合がある、金利負担がある | 安定した収益が見込める企業 |
日本政策金融公庫 | 政府系金融機関の融資、低金利 | 中小企業向け制度が充実、創業融資も可能 | 手続きがやや複雑、融資額に上限がある | 創業間もない企業、中小企業 |
社債 | 企業が発行する債券、大規模な資金調達が可能 | 大規模な資金を一度に調達できる、知名度向上につながる | 手続きが複雑、信用力が必要 | 大企業 |
ベンチャーキャピタル | 成長性の高い企業に投資するファンドからの出資 | 大規模な資金調達が可能、経営ノウハウを得られる | 出資比率が高くなる、経営への干渉を受ける可能性がある | 成長性の高いベンチャー企業 |
エンジェル投資家 | 個人の投資家からの出資 | 個人のネットワークを活用できる、柔軟な資金調達が可能 | 投資額が比較的少ない、経営への干渉を受ける可能性がある | 創業期のベンチャー企業 |
クラウドファンディング | 不特定多数から小口の資金を調達 | 短期間で多くの資金を調達できる、顧客との関係構築が可能 | リターンを用意する必要がある、目標金額に達しないリスクがある | アイデア段階の事業、新規事業 |
補助金・助成金 | 国や自治体からの資金援助 | 返済不要、事業の推進力を得られる | 採択審査が厳しく、手続きが煩雑 | 特定の事業を行う企業 |
ファクタリング | 売掛金を売却して資金化 | 短期で資金調達できる、売掛金回収の遅延リスクを回避できる | 割引率が高く、手数料がかかる | 売掛金が多い企業 |
中小企業に最適な資金調達方法
中小企業におすすめの資金調達方法は以下の通りです。
日本政策金融公庫:
政府系金融機関として、中小企業向けの融資制度を豊富に用意しています。低金利で融資を受けられるだけでなく、経営相談などのサポート体制も充実しているため、初めて資金調達を行う中小企業にとって心強い存在です。
制度融資:
国や地方自治体が中小企業の支援のために設けている制度融資を活用する方法です。特定の業種や地域の中小企業を対象とした支援策が数多く用意されており、金利が優遇されている場合があります。
補助金・助成金:
国や地方自治体から、特定の事業に対して支給される資金です。返済義務がないため、資金の使い道が比較的自由で、事業の拡大や新規事業の創出に活用できます。
銀行融資:
中小企業にとって最も身近な資金調達方法の一つです。融資金額や返済期間など、企業の状況に合わせて柔軟な対応が可能です。しかし、担保や保証人を求められる場合や、金利が他の方法に比べて高くなる傾向がある点には注意が必要です。
日本政策金融公庫や制度融資、補助金・助成金は、低金利での融資や緩和された融資条件など、中小企業にとって多くのメリットをもたらします。しかし、これらの資金調達方法には、手続きが煩雑であったり、利用できる企業が限られていたり、資金調達額に上限があったりするなど、注意すべき点もいくつかあります。銀行融資は、柔軟性が高く、迅速な対応が期待でき、総合的な金融サービスを提供してくれるというメリットがありますが、制度融資や補助金と比較すると金利が高いなどもあります。そのため、自社の事業規模、成長段階、資金需要などを総合的に勘案し、最適な資金調達方法を選択することが重要です。
★税理士からのワンポイントアドバイス
資金調達に対して成功報酬を求めるコンサルタントや専門家もいます。調達額との費用対効果を見て、依頼を検討することをおすすめします。
中小企業が資金調達で成功するために
中小企業が資金調達を成功させるためには、以下の点に注意しましょう。
・事業計画書の質
具体的な数値目標や、実現可能性の高い計画を示すことが重要です。
・財務状況の改善
借入金の返済比率や自己資本比率などを改善し、健全な財務状況を示す必要があります。
・担保の準備
融資を受ける際に、担保を求められる可能性が高いです。
・専門家への相談
弁護士、税理士、コンサルタントなどの専門家のアドバイスを受けることで、スムーズな資金調達が可能です。
中小企業が資金調達を行う際には、自社の状況や事業計画に合わせて、最適な方法を選択することが重要です。様々な資金調達方法があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。専門家と相談しながら、慎重に計画を立て、実行に移しましょう。
事業計画書作成(中小企業編)のポイント
中小企業が資金調達をする上で、最も重要なのは事業計画書の作成です。事業計画書は、あなたの事業の魅力を伝えるための「顔」となります。事業計画書には、事業の概要や市場分析、財務計画、資金使途の記載が必要です。以下ポイントに注意して事業計画書を作成しましょう。
数字で示す:
あくまで「計画」なので、過去のデータに基づいた具体的な数字で示すことが重要です。
分かりやすく簡潔に:
専門用語を避け、誰でも理解できるように分かりやすく説明しましょう。
将来性:
現在の状況だけでなく、将来どのように成長していくのか、ビジョンを明確に示しましょう。
★税理士からのワンポイントアドバイス
無理な計画を策定すると手元の資金が湯水の如くなくなります。営業目標も含めて、厳しく見ていくことがポイントです。
資金調達後の注意点
資金調達後も成功を収めるためには、以下の点に注意しましょう。
定期的な事業計画の見直し:
事業環境は常に変化するため、定期的に事業計画を見直し、必要な修正を行いましょう。
財務状況の管理:
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などを定期的に作成し、財務状況を把握しましょう。
調達先との関係構築:
調達先とは定期的に連携を取り、信頼関係を築いて必要に応じて相談を行いましょう。
資金調達に関するよくある質問
資金調達はゴールではなく、新たなスタートです。資金を有効活用し、事業を成功させるためには、計画的な資金配分、財務状況の管理、そして調達先との良好な関係構築が不可欠です。
Q. 資金調達額を算出する際に、どの程度の余裕を持たせるべきでしょうか?
A. 資金調達額は、事業計画に基づいて算出しますが、必ずしも計画通りに進むとは限りません。予期せぬ事態に備えて、ある程度の余裕を持たせることが大切です。一般的には、当初の計画よりも10%~20%程度多めに調達するケースが多いです。
Q. 資金調達後に業績が悪化した場合、どうすれば良いでしょうか?
A. 資金調達後に業績が悪化した場合は、投資家や金融機関に早めに相談し、状況を説明することが大切です。事業計画の見直しや、新たな資金調達方法の検討など、共に解決策を模索しましょう。
Q. 銀行融資を受けるために、どのような書類が必要ですか?
A. 銀行によって必要な書類は異なりますが、一般的には、事業計画書、財務諸表、確定申告書、登記事項証明書などが求められます。また、担保や保証人を用意する必要がある場合もあります。
Q. 銀行から融資を断られた場合、再チャレンジする方法はありますか?
A. 銀行から融資を断られた場合、まず、断られた理由をしっかりと確認しましょう。その上で、事業計画の修正や、別の銀行への相談など、再チャレンジする方法を検討してみましょう。
★税理士からのワンポイントアドバイス
経営者の中には、手元の資金が多くなると気持ちが大きくなり、設備投資、車両の購入など予定外の支出を行ってしまい、最終的に借りたお金を、またお金を借りて返済するケースもあります。日々の資金繰りをしっかり意識して、取り組むことが大切です。
資金調達には、様々な方法があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。自社の状況や事業計画に合わせて、最適な方法を選択することが重要です。資金調達は、会社の事業を次のステージへと導くために非常に有効ですが、リスクもありますので、専門家に相談しながら、進めていきましょう。
専門家による監修
本ガイドは、記事の内容に関する広範な知識と実務経験を持つ専門家によって監修されています。専門家による監修は、本ガイドの内容の正確性と信頼性を保証するものであり、読者が安心して情報を活用できるようにするためのものです。監修を担当された専門家の情報は以下の通りです。ご興味がある方は、さらなる情報や個別のご相談について、直接お問い合わせいただければと思います。
監修:橋本 隆
茨城県日立市出身。札幌観光大使。中小零細企業の資金調達および事業承継に強い税理士。2003年税理士試験合格。千葉県内の税理士事務所勤務を経て2007年4月BAMCグループに参画。千葉支店長、札幌支店長を歴任。2020年4月税理士法人BAMC代表社員に就任。金融機関、生命保険会社からの依頼で年間100本のセミナーを行う人気講師でもある。
※当記事は税理士などの専門家の監修の下、細心の注意を払って作成しておりますが、万が一内容に不備があり、読者に不利益や損害が生じた場合でも、㈱BAMC associatesは責任を負いかねますのでご了承ください。記事に関するご指摘は、大変恐縮ですが、当事務所の「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。ただし、記事に関するご質問は回答出来ませんので、あらかじめご理解のほどお願い申し上げます。