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2025.05.19

利益とは?会社経営に必要な基礎知識をやさしく解説!知っておきたい5つの利益

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経営支援
利益とは?会社経営に必要な基礎知識をやさしく解説!知っておきたい5つの利益

概要

「利益って、いくつか種類があるけど、正直どれが何を意味しているのかよくわからない…」そんな声をよく耳にします。経営や会計の現場では当たり前のように飛び交う「売上総利益」「営業利益」「経常利益」などの言葉。しかし、実際にそれぞれの違いや意味をきちんと説明できる人は意外と少ないのが実情です。この記事では、企業経営に欠かせない「利益」について、基本からわかりやすく解説します。「売上とはどう違うのか?」「それぞれの利益は何を表しているのか?」という疑問に答えながら、各利益の計算方法や経営判断での活かし方まで、実務に役立つ内容を丁寧に整理しています。

目次

    利益とは?

    利益とは、企業が商品やサービスを販売することで得た収益から、その販売にかかる費用を差し引いた残りの金額を指します。簡単に言えば、企業が「儲けたお金」のことです。この利益は、企業が成長し、安定するための基盤となり、経営がうまくいっているかどうかを示す大切な指標です。

    利益と売上の違い

    売上とは?

    売上とは、企業が商品やサービスを提供して得られる総額のことです。例えば、あるカフェが1杯500円のコーヒーを100杯販売したとします。そのカフェの売上は以下のように計算できます。

    売上の計算例:1杯500円 × 100杯 = 50,000円

    この50,000円がそのカフェの売上となります。売上は、カフェが活動して得た総収入です。

    利益とは?

    一方で利益は、売上から製造や販売にかかる費用を差し引いた金額です。先ほどのカフェの場合、売上50,000円に対して、コーヒー豆、牛乳、人件費、光熱費などの費用がかかります。例えば、これらの費用が30,000円だとすると、利益は以下のようになります。

    売上:50,000円

    費用:30,000円(コーヒー豆、牛乳、人件費、光熱費など)

    利益:50,000円 – 30,000円 = 20,000円

    この20,000円が利益です。利益は、売上から必要な費用を差し引いた金額となります。

    このように、売上は企業が商品やサービスを提供して得られる総額を示し、利益は総額から費用を差し引いた金額です。売上が多くても、費用が高ければ利益は少なくなり、場合によっては損失を出すこともあります。利益が出てこそ、企業は実質的に成長を遂げたと言えるのです。

    利益の種類と計算方法

    利益の種類

    利益には次のような種類があり、それぞれが異なる観点から企業の収益性を評価する重要な指標です。これらの指標を通じて、企業の健全性や成長性を理解することができます。

    ・売上総利益: 商品やサービスの原価を差し引いた基本的な利益

    ・営業利益: 本業での利益(販売費・管理費を差し引いた利益)

    ・経常利益: 営業活動と営業外活動を含めた利益

    ・税引前当期純利益: 特別な要因を加減した、税引き前の最終的な利益

    ・当期純利益: 税金を差し引いた、企業が最終的に得た利益

    1 売上総利益(粗利)

    売上総利益は、売上高から売上原価(商品の仕入れ値や製造コスト)を差し引いた金額であり、商品の原価管理や価格設定を行う際の重要な指標となります。

    計算式:売上総利益=売上高−売上原価

    売上総利益は、製品やサービスが利益を生み出すための基本的な力を示します。売上総利益率が高ければ、製品の原価が低いか、販売価格が適切であることを意味し、製品戦略の成功を示唆します。一方、売上総利益が低下している場合は、コスト削減や価格改定などの施策が必要であることを示しています。

    2 営業利益

    営業利益は、企業の「本業」で得られる利益であり、売上総利益から販売費および一般管理費(販管費)を差し引いたものです。販売費や一般管理費には、広告費、事務所の家賃、社員の給料など、企業の運営に必要な一般的な費用が含まれています

    計算式:営業利益=売上総利益−販売費及び一般管理費

    営業利益は、本業の収益力を示す最も重要な指標の1つです。営業利益が高ければ、事業の運営が効率的であり、企業の収益力が強いことを意味します。一方、営業利益が低い、または赤字であれば、本業での収益性が低いことを示しており、改善が求められます。

    3 経常利益

    経常利益は、営業利益に営業外の収益(利息や配当、投資の利益)や営業外の費用(支払利息など)を加減した利益です。この利益は、企業の通常の活動全体から得られるものであり、企業が営業活動だけでなく、その他の投資活動からも利益を得ているかどうかを示しています。

    計算式:経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用

    経常利益は、企業の本業に加えて、金融活動やその他の投資活動の影響を受けるため、企業の全体的な収益力を把握するための重要な指標です。経常利益が安定していれば、企業の経営基盤が安定していることを示します。経常利益が低い場合は、その原因を明確にし、それが一時的なものかを見極め、改善の可能性があるのか冷静に判断することが、経営判断や投資判断において非常に重要です。

    4 税引前当期純利益

    税引前当期純利益は、経常利益に特別利益や特別損失(例えば、資産売却による利益や一時的な損失)を加減したものです。この時点で、企業が本業と営業外活動を含めて得た利益に、一時的な特別な要因が加わることになります。

    計算式:税引前当期純利益=経常利益+特別利益−特別損失

    税引前当期純利益は、税金の影響を排除して企業の本来の収益力を評価する指標です。減価償却や利息支払いなどの非現金費用や財務費用も反映されており、設備投資の影響などもこの指標を通じて理解できます。また、税引前の利益を見たほうが、税金や利息の支払い方法や税制の違いによる影響がないため、企業の業績を純粋に比較しやすくなります。さらに、将来の税金負担の予測にも役立つ重要な指標です。

    5 当期純利益

    当期純利益は、最終的な利益であり、税引前当期純利益から法人税などの税金を引いた後の金額です。この利益は、企業が実際に得た最終的な利益を示しており、株主への配当や企業の内部留保に回されます。

    計算式:当期純利益=税引前当期純利益−法人税等

    当期純利益は、最終的な収益を示すため、株主や投資家にとって非常に重要な指標です。この利益は、企業の財務健全性や株主還元(配当や株式買戻しなど)のために必要な利益を示します。当期純利益が高ければ、株主に対する配当金を支払う余裕があることを意味し、企業の安定性を示します。

    ワンポイントアドバイス

    会社の財務分析を行う際に、今回の記事で登場した様々な利益を用いることで、算出できる経営指標が数多くあります。財務分析で重要な指標である売上高営業利益率、ROA、付加価値額などが算出可能です。次のステップとして、利益に関する経営指標を覚えることで、経営改善が必要なポイントに気づきやすくなるでしょう。

    企業にとっての利益の役割

    1. 事業の継続性を支える

    利益は、企業が事業を続けるために必要な資金を生み出します。利益が出ていないと、企業は運転資金や設備投資、社員の給与の支払いなどを賄うことができません。利益が確保されていることで、企業は持続可能な事業運営が可能になります。

    2. 投資家へのリターン

    企業が利益を上げることで、株主や投資家へのリターンが提供されます。企業の利益が増えれば、株主への配当や株価の上昇が期待され、企業の株主価値が向上します。

    3. 成長と拡大の資金源

    利益は、企業の成長や新たな事業展開に必要な資金の源となります。利益が再投資されることで、企業は新たなプロジェクトや市場拡大を実現し、競争力を高めることができます。

    4. 金融機関からの信用向上

    安定的な利益を上げている企業は、銀行や金融機関からの信用を得やすく、資金調達がスムーズになります。これにより、低金利での融資を受けやすくなり、企業の財務状況が改善されます。

    5. 社員の待遇向上

    企業が利益を上げることで、社員に対するボーナスや昇給、福利厚生の充実が可能になります。社員のモチベーションや生産性向上にもつながります。

    6. 社会的責任の遂行

    企業は利益を上げることで、税金を支払うことができ、社会に貢献します。また、社会貢献活動や環境保護活動に資金を投入するためにも利益が必要です。

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    「利益」と一言でいっても、実は様々な種類があり、それぞれに異なる意味や役割があります。売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益といった各利益を正しく理解することで、企業の経営状態をより正確に把握できるようになります。これを機に、ニュースや決算書を見るときには「どの利益を指しているのか?」に注目してみましょう。より深い理解が、ビジネスの意思決定にも役立つはずです。

    専門家による監修

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    著者
    BAMC 新井
    記事作成日
    2025.05.19

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