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2024.11.14

確定申告は税理士に依頼すべきか?費用や依頼すべき判断基準を解説

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確定申告
確定申告は税理士に依頼すべきか?費用や依頼すべき判断基準を解説

概要

個人事業主やフリーランス、さらには一定の条件を満たす会社員や年金受給者など、確定申告が必要な人は多岐にわたります。しかし、適切な申告を行わないことで生じる様々なリスクやペナルティ、税金の還付を逃す可能性もあり、その重要性は年々高まっています。この記事では、確定申告の基本から、税理士に依頼するメリット、自分で確定申告を行う際の注意点、準備する書類やスケジュール管理など、確定申告に関わるあらゆる情報を解説しております。

目次

    確定申告とは

    確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの期間に発生した所得と、それに対して計算される所得税の額を報告し、精算する手続きです。この期間中に得た収入から必要経費を差し引いた「もうけ」にかかる税金(所得税)を自己申告します。また、年間を通じて源泉徴収された税金や予定納税額が所得税額と合致しない場合、その差額を納税したり、還付を受けたりする過程です。

    確定申告が必要な人は?

    確定申告は、年間の所得が控除額を越えた場合、つまり税金が発生する場合に必要です。ただし、年収2,000万円以下で、給与を1ヶ所から全額源泉徴収で受けており、給与や退職所得以外で20万円以下の収入しかない場合などは、確定申告が免除されることがあります。確定申告が必要なのは、主に以下のようなケースの人々です。

    ・年間の所得が基礎控除額を超える個人事業主やフリーランス

    ・不動産や株式などの譲渡所得や配当所得などがある

    ・2カ所以上から給与を受け取り、合計所得が20万円を超える会社員

    ・不動産を賃貸している人で 不動産からの収入が20万円を超える

    ・年金受給者で 年金以外に一定額以上の所得がある

    ・海外に居住していて日本国内で所得がある

    ・医療費控除を受けたい人

    ・ふるさと納税をした人

    これら以外にも、特定の控除を受けたい場合や、所得が複雑な場合など、確定申告が必要になるケースは多岐にわたります。自分の状況に照らし合わせ、必要があれば税務専門家に相談することをお勧めします。

    赤字でも確定申告は必要なのか?

    赤字の年でも、特定の控除を受けるためや、将来の所得が見込まれる場合には確定申告を行うことが推奨されます。赤字の申告によって、損失の繰り越しが可能になり、将来的な税負担の軽減につながることもあります。

    確定申告(無申告)を忘れたらどうなる?

    確定申告を行わなかった場合、様々なペナルティやデメリットが発生する可能性があります。

    無申告によって発生する延滞税や加算税、重加算税:

    無申告の場合、税金の追加徴収に加えて、延滞税や加算税、場合によっては重加算税が課されることがあります。これらは税金を遅延して納付した場合や意図的に申告を避けた場合に発生します。

    住民税も無申告になる?:

    無申告の場合、税金の追加徴収に加えて、延滞税や加算税、場合によっては重加算税が課されることがあります。これらは税金を遅延して納付した場合や意図的に申告を避けた場合に発生します。

    還付金がもらえなくなる?:

    適切な申告を行わないと、税金の過払い分が還付される機会を失います。特に、医療費控除など特定の控除を受けられる場合には大きな損失となる可能性があります。

    収入証明が出せない:

    確定申告を行わないと、ローンの申請や各種の補助金申請時に必要となる収入証明書を提出できなくなります。これにより、金融機関からの信頼を損ねたり、必要なサービスや支援を受けられなくなることがあります。確定申告は、自分の収入を公的に証明する手段の一つとしても非常に重要なのです。

    無申告が続くと、税務署からの指摘を受けることもあり、その際にはさらに詳細な調査が行われる可能性があります。これにより、過去にさかのぼって申告を行い、適切な税金を納付する必要が出てくることもあります。このような状況を避けるためにも、確定申告のルールを理解し、適切に対応することが重要です。

    確定申告を税理士に代行してもらうメリットやデメリット

    税理士に確定申告を依頼することは大きなメリットを生みますが、当然デメリットもあります。自分自身の状況とメリット/デメリットを理解したうえで、依頼を検討してください。

    確定申告を税理士に依頼するメリット

    ・時間の節約

    確定申告に要する複雑な計算や書類準備にかかる時間を削減し、その時間を事業拡大や新しいプロジェクトの開発など、より収益性の高い活動に充てることができます。

    ・節税効果を最大化

    税理士は最新の税法改正を含めた幅広い知識を持っているため、個々の事業や個人の状況に応じた最適な節税策を提案し、納税額を合法的に抑えることが可能です。

    ・専門家への相談が可能

    税務に関する複雑な問題や、将来の事業展開に伴う税務計画について、税理士に直接相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。これにより、不安を解消し、より安心して事業運営を行うことが可能になります。

    ・正確な税務申告

    税理士による確定申告は、税法に基づいた正確な計算と適切な書類の準備により行われるため、税務調査の際に問題が発生するリスクを大幅に減らすことができます。また、申告漏れや誤申告による余計なペナルティの発生を防ぐことができるため、安心して事業に専念することが可能です。

    確定申告を税理士に依頼するデメリット

    ・費用が発生

    専門家に依頼することで、確定申告の処理に関連する報酬として、一定の費用が必要となります。この費用は、税理士の専門性や経験、依頼する業務の範囲によって変動し、場合によっては想定以上の金額になる可能性もあります。

    ・コミュニケーションが必要

    税理士との間で、所得の詳細、経費の内容、節税対策などについての情報交換が必要になります。これには、適切かつ定期的なコミュニケーションが求められ、場合によっては時間や手間がかかることもあります。また、自身の意向を正確に伝え、理解してもらうことが重要になるため、コミュニケーションスキルも求められます。

    ・税務知識が磨かれない

    確定申告を専門家に依頼することで、短期的には時間の節約や節税効果を享受できますが、長期的には自身で税務申告のプロセスを経験しないため、税務に関する知識や理解が深まりにくくなります。これにより、将来的に自分で確定申告を行う際や税務に関連する意思決定をする際に、不利となる可能性があります。

    ・節税効果を最大化

    税理士は最新の税法改正を含めた幅広い知識を持っているため、個々の事業や個人の状況に応じた最適な節税策を提案し、納税額を合法的に抑えることが可能です。

    確定申告を税理士に依頼するかどうかは、これらのメリットとデメリットを踏まえた上で、個々の事業の状況やニーズに合わせて検討することが重要です。自分自身の時間や労力、税務知識の有無、そして費用対効果を考慮して最適な判断をしましょう。

    自分で確定申告をする際の注意点

    確定申告は、正確な申告を行うことが法的義務であり、自分自身で行う際には注意が必要です。特に税務調査や税務署からのガイダンスに関しては、以下のポイントに気をつけることが大切です。

    税務調査に対するリスク

    税務調査時には、収入や経費に関する記録を正確に保持しておくことが必須です。領収書や請求書、銀行の取引明細など、関連するすべての文書を整理し、保存しておくことが必要があります。また申告内容の正確性に不備があり、 誤った情報を提出すると、加算税や罰金の対象となることがあるため、申告内容は慎重に確認し、正確であることを確実にする必要があります。

    税務署のガイダンスとその落とし穴

    税務署から提供されるガイダンスは一般的なものであり、個別の事例に対応していない場合があります。自分の状況に特有の問題がある場合、税務署のガイダンスだけに頼るのではなく、専門家の意見を求めることが望ましいです。また税法は複雑であり、解釈によって異なる意見が存在することがあります。税務署の見解と自己の解釈が異なる場合、不利益を受ける可能性があります。このような場合には、あらかじめ専門家に相談することが重要です。

    自分自身で確定申告を行う際は、これらの点に注意し、必要に応じて専門家の助言を求めることで、リスクを最小限に抑えることができます。正確な記録の保持と、申告内容の確認に十分な時間を割くことを忘れないでください。

    税理士に確定申告を依頼する場合の費用相場

    確定申告を税理士に依頼する際の費用は、提供されるサービスの範囲や事業の複雑さによって大きく異なります。一般的には、個人事業主の確定申告であれば、3万円〜10万円程度が相場とされています。法人の場合や複雑な税務処理が必要な場合は、この範囲を超えることも珍しくありません。具体的な費用は、事前の見積もりをもとに決定されることが一般的です。

    確定申告を税理士に依頼すべき判断基準

    税理士に確定申告を依頼することを検討すべきタイミングは、主に以下のような状況です。

    年間の売上が1,000万円を超えた場合:

    年間の売上が1,000万円を超えると、税務上の取り扱いが複雑になる傾向があります。特に、消費税の課税事業者になる可能性があるため、税理士に相談することが推奨されます。

    利益が800万円を超えた場合:

    利益が800万円を超えると、税率の増加により節税の機会を見逃しやすくなります。税理士は適切な節税対策をアドバイスし、税負担を最適化する手助けをしてくれます。

    個人事業主から法人化(法人成り)する場合:

    個人事業主から法人化する際は、税務上の手続きが複雑で、多くの準備が必要になります。税理士は法人設立の手続きをサポートし、法人成り後の税務戦略を提案してくれます。

    これらのタイミングで税理士に確定申告を依頼することで、適切な税務処理を行い、将来的な税務リスクを回避することができます。

    税理士に確定申告を依頼する場合の注意点

    税理士に確定申告を依頼する際には、いくつかの重要な点に注意を払う必要があります。まず、事前に税理士とのコミュニケーションを確実に取り、依頼するサービスの範囲を明確にしておくことが重要です。さらに、税理士との相性も重要であり、信頼関係を築くことができるかどうかを見極めることが必要です

    この注意点を軽視した結果、いくつかの失敗例があります。サービスの範囲を事前に明確にしなかったことで、重要な税務上のチャンスを逃してしまったケース、信頼関係の欠如により、税理士のアドバイスを十分に活用できなかったケースがあります。中には、自分自身の確定申告にかかる業務量を過小評価し、税理士に伝えた結果、作業開始後に実際の業務量が予想を大きく上回ることが判明し、結果的に当初の見積もりよりも高額な追加料金が発生した事例もあります。このようなケースでは、当初から正確な情報を提供することの重要性が示されており、税理士との信頼関係構築だけでなく、業務量の適切な伝達も極めて重要であることを示しています。このような事態を避けるためにも、可能な限り詳細な情報を提供し、透明性を確保することが重要です。

    税理士に確定申告を依頼する場合に準備する書類一覧

    税理士に確定申告をスムーズに進めてもらうためには、以下の書類を準備しておくことが推奨されます。

    • 現金収支詳細: 領収書や現金出納帳など
    • 銀行取引記録: 通帳のコピーと振込明細書
    • 売上データ整理: 売上請求書のコピーと売上管理表
    • 支出記録の整理: 支払請求書のコピーと支払管理表
    • 従業員給与明細: 賃金台帳や給与明細書
    • クレジット取引履歴: クレジットカードの明細書

    これらの書類を事前に整理しておくことで、税理士に確定申告を依頼した際に、スムーズに確定申告を進めることができます

    税理士に確定申告を丸投げすべきか

    確定申告のプロセスを全て税理士に任せる「丸投げ」は、時間と労力を節約する上で非常に効果的ですが、自身の事業やお金の流れを理解する機会を失う可能性があります。費用と利便性、自身の学習意欲を考慮して決定しましょう。

    個人事業主は確定申告に税理士は必要なのか

    個人事業主が確定申告に税理士を必要とするかどうかは、事業の規模や複雑さ、自身の税務知識によります。事業が成長し、税務が複雑になるにつれ、専門家の支援が不可欠となるケースが多くあります。

    ★税理士からのワンポイントアドバイス

    確定申告で青色申告を選択すると、最高65万円(または55万円)や10万円の青色申告特別控除を受けることができます。ただし、65万円控除を行う場合、一定の要件に従って貸借対照表と損益計算書を作成する必要があるため、自分自身の申告で不安に感じる場合は、税理士に依頼した方が宜しいかと思います。

    確定申告を税理士に依頼する場合のスケジュール

    確定申告のスケジュールは以下のように進めるとスムーズです。

    期間内容
    11月~12月来年の確定申告に向けて税理士を選定し、初回の打ち合わせを行う
    1月~2月必要書類の準備と税理士への提出
    2月中旬~3月15日税理士が確定申告書の作成を行い、提出前に内容の確認をする
    3月15日まで確定申告書の提出
    3月15日以降来年度の相談。個人事業主の方は法人化などを検討

    よくある質問

    1. e-Taxとは何でしょうか?オンラインで確定申告はできますか?

    e-Taxは、国税庁が提供するオンライン税務申告・納税システムです。確定申告、消費税の申告、各種税務関連の届出等をオンラインで行うことができます。

    2. 確定申告で還付金を受け取るにはどうすればいいですか?

    還付金がある場合は、確定申告を行うことで還付申請をすることができます。e-Taxでオンライン申告するか、紙の申告書を税務署に提出してください。申告後、指定した口座に還付金が振り込まれます。

    3. 副業の収入はどのように確定申告しますか?

    副業からの収入がある場合、その収入を含めた年間の総所得額を確定申告で申告する必要があります。主な収入と副業収入を合算し、必要な所得控除を適用して税額を計算します。

    4. 住宅ローン控除を受けるための確定申告はどうすればいいですか?

    住宅ローン控除を受けるためには、確定申告が必要です。申告時に住宅ローン控除の適用を申請し、ローン契約書や入居証明などの必要書類を添付します。

    5. 医療費控除を受けるにはどのような書類が必要ですか?

    医療費控除を受けるためには、医療費控除の明細書の添付が必要となります。また領収書は自宅で5年間保管する必要がありますので、注意しましょう。

    6. 確定申告と年末調整の違いは何ですか?

    年末調整は、会社が従業員のために行う所得税の精算処理です。確定申告は、個人が直接税務署に行う所得税の申告と精算のことを指します。年末調整で処理できない収入や控除がある場合は、確定申告が必要です。

    7. 海外での収入は確定申告でどのように扱われますか?

    海外で得た収入も日本での所得と合算して申告する必要があります。ただし、二重課税を避けるための控除制度が用意されています。

    この記事を通じて、税理士に依頼することのメリットやデメリット、自分で申告を行う際の注意点などをご理解いただけたのではないでしょうか。確定申告は、収入や経費の整理、税務調査に対するリスク管理を含む、正確な手続きが求められます。ご自身で行うことに不安がある方や、より専門的なサポートを必要とされる方は、ぜひ税理士に相談することをご検討ください。

    専門家による監修

    本ガイドは、記事の内容に関する広範な知識と実務経験を持つ専門家によって監修されています。専門家による監修は、本ガイドの内容の正確性と信頼性を保証するものであり、読者が安心して情報を活用できるようにするためのものです。監修を担当された専門家の情報は以下の通りです。ご興味がある方は、さらなる情報や個別のご相談について、直接お問い合わせいただければと思います。

    監修:今井

    東京都出身。中小企業のコンサルティングに強い税理士。BAMCグループへの参画前には相続税に特化した税理士事務所に勤めており、多数の相続案件に携わる。現在は売上規模数十億を超える顧客を担当しており、最前線で活躍している税理士。

    ※当記事は税理士などの専門家の監修の下、細心の注意を払って作成しておりますが、万が一内容に不備があり、読者に不利益や損害が生じた場合でも、㈱BAMC associatesは責任を負いかねますのでご了承ください。記事に関するご指摘は、大変恐縮ですが、当事務所の「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。ただし、記事に関するご質問は回答出来ませんので、あらかじめご理解のほどお願い申し上げます。

    著者
    BAMC 新井
    記事作成日
    2024.11.14

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